※ 私は脳科学に関して勉強すらしたことがないので、ここに書いていることは間違っているかもしれない。という前提で読んでください。
まず、ある動作を行う場合、それが「脳」からの命令か「脊髄」からの命令かで特徴が異なる。
「脳」は、より複雑な動きを伝える事ができるが、実際に動く筋肉までの到達に時間が係る。それに比べて「脊髄」は、単純な動きしか伝えられないが、伝達時間は短い。
「足でボールを見る」というのは、ボールコントロールを、なるべく「脊髄」で行うようにすることを、子供にわかりやすく(?)表現した言葉。ここでは分かりやすくするために「脊髄コントロール」と名付けよう。
「脊髄コントロール」の利点は後で述べるとして、ますは、どのように「脊髄コントロール」を強化するか考えてみる。
まず「脊髄コントロール」は、コーンドリブルなどを繰り返すだけでは鍛えにくい。「脳」をどれだけボールコントロールから切り離せるかで効果が変わる。逆の言い方をすれば、ボールコントロールの最中に「脳」を別の事で忙しくさせれば、効果が出やすい。
基本は、コーンドリブルに何かを足すのが良いと思う。そもそも、複雑な動きは「脊髄」には処理できないので、コーンドリブルのような簡単な動きをベースにするのは「脊髄コントロール」の強化に良い。
初歩的な練習としては、コーンドリブルの最中に、コーチなどが指で数を作り(ピースマークだと「2」)、ドリブル中にその数字を答えてもらう。もう少し上達すると、左右の手で数字を作り、足し算や掛け算をする。そこに3つ目の数字を言ったり、「掛け算」とか「足し算」といった演算ルールを声にしたりすれば、複雑さが増す。複雑さが増せば「脳」への負担が増え「脊髄コントロール」の頻度が増す。
ただし、同じ練習を繰り返すとパターン化して「脳」と「脊髄」などが覚えてしまうので、バリエーションを変えて、脳への負荷の掛け方を工夫したほうが良い。特に「視覚」は情報量が多いので「脳」への負荷も大きく、工夫するだけ効果があると思う。
この練習は、小学生低学年だと効果が見えにくい。低学年では、試合中に複雑な状況になりにくい(いわゆる団子サッカー)ので「脳」をドリブルやフェイントなどに使っていても、問題が露呈しにくい。むしろ「脳」をフル活用して、1人で突破する方が勝負に勝てたりするし、周りも「すごい!」となる。ただ、4年生位になると、ポジショニングや点差、相手選手の位置、マークなど「脳」の出番が増えてくる。試合時間も長くなるので、疲労で「脳」そのものの力も落ちてくる。その時に、ボールコントロールを「脊髄」に任せて、どれだけ「脳」を別の事に使えるかは、重要な要素となる。